昔高校生の頃、晩秋の夜6時頃、とっぷり暮れた帰り道を
とぼとぼと歩いていたある日のこと。

田舎だったもので、「とっぷり暮れた」というと
冗談抜きで暗い。巨大な寺のうす暗い境内を抜け、
古い旅館の前を通って、電柱の明かりがぽつん、ぽつん、
とともっている通りをとぼとぼ15分ほど歩いて
さらに細い道に入ってしばらくすると家に着く。

家の近くになると明かりはいっそう乏しくなる。
いよいよこの角を曲がれば家、というとき、
ちょうどその曲がり角の突き当たり、清水さんの家の私道の入り口で、
二人の男が穴を掘っていた。

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