電話を切ったばかりのM木さんが一人でにやにやしている。
なあに?と聞くと、今の会話を再現してくれた。

「それでは、お名前をどうぞ」
「石原です」
「すみません、ちょっとお電話の声が遠いのですが」
「石原です」
「申し訳ありませんが、もう一度」
「都知事の、石原です」
「…えっ」
「と、ち、じ、の。石原です」
「…?!」

電話の相手は、ハイトーンヴォイスの男性だったという。
それが「都知事をやっている石原」さんではなく、
「都知事と同じ苗字の、石原」さんなのだと思い至るまでの数秒、
全身に冷や汗をかいたM木さんであった。
(2006年2月6日)
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