「うちの会社、前からなんか変だとは思ってたんだけどさ、
…うーん、なんかイベントが多いって言うか、それがまたばかばかしいって言うか。」

「それがさー、今度もまた社長の発案で、社内花見パーティーを
するっていうのを決めたわけ。それで、去年のうちに会社の敷地に
桜の木をさー、わざわざ植えたんだよねドーンと」

「そう、わざわざ。でもね、3月末になっても咲かなくってさ、
4月になっても咲かないわけ。ていうかつぼみもつかないわけ。」

「これはおかしいってみんななんとなく思ってたら、
なんと、花の咲かない種類の桜だったのそれ」

「そうそう、そんなのがあるらしいの。で、それが発覚したのがね、
よりによって花見パーティーの前日だったわけ」

「馬鹿だよねー、もっと早く気付っての。だってつぼみだって付かないんだよ？
そしたら社長が激怒してさー、そうそう激怒。
”明日までに花の咲いてる桜と植え替えろ！”ってすごい剣幕で」

「それで、どうやったかしらないんだけどさー、植え替えたわけ」
前から変な会社だとは思ってたけど、なおさら馬鹿らしくなっちゃってさー」

「そう、咲いてるやつと！ほんと馬鹿だよねー。どっから持ってきたんだか…。
あ、パーティー？やったやった。それがまたくだらなくってさー…」