一斉に飛び立つ鳩に手を振ってみた。
無邪気にこういうことをするには、さすがに少し年を取ったなと思う。
だからちょっと及び腰な手の振り方になって、余計にかっこ悪い私である。

それでも、
一心に振り続けていれば、
一羽くらい、気づいて振り向いてくれるのではないか。
群れから離れて、私のところへ舞い降りてくれるのではないだろうか。

おーい。
降りておいでよ。
お前のガラスめいた目を覗き込めば、こんな寂しい夕暮にも
明るい歌が浮かんできそうな気がするのだ。

(2006年5月17日)
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