slept-slept 〜第二海堡

短歌単独version






しづつ海に溶けゆく島にゐてカラメル色の手足を伸ばす



前どこかで会つたでせうか 砲台は南へ首を傾げてゐたり



日見し夢を詰めたる砲弾は空の途中で見失ふべし








きこめば防空壕の暗闇に電球薄目して吊られをり


面の光の中に夏服の男をり 笑まず手招きもせず


ち抜かれた痛みなどもう忘れたよ坂道に草の匂ひは満ちて


げやりな汽笛飛びかひ軒下に投げし乳歯のその後を思ふ






橋にみんなで横たはつてゐる迎への舟が岸に着くまで


むらなきやねむらなきやああだれだつけねむりなさいと言つてゐたのは


ひ一つ途切れたる時ぼんやりと見上ぐるために建てし灯台


風の形のままにそよぐ草 眠つてからはずつと夏です



slept-slept コラボレーション版

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